5千年前のおとぎの国、三内丸山遺跡 R5.8.12

北海道・北東北縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されたのは2021年7月なので、ことしの7月で2年が経過しました。登録された頃は新型コロナウイルスの影響を受け、旅行もままならない状況で世界遺産に対する注目度も薄かったと思います。でも登録後2年目を迎える今年は、待ちに待ったかのように大手旅行社のツアーをはじめ、青森県の誘客推進の取り組みもあり、縄文遺跡への人流が大幅に向上したように思います。特に、世界遺産に登録された17構成資産の中心を担う三内丸山遺跡へは、多くの国内外の観光客が訪れています。

 

三内丸山遺跡

 

三内丸山遺跡へ行った日がイベントの期間中で入館料がなんと無料でした。午後の遅い時間だったので入館者も少なく、写真撮影には最高の日でした。ちょっとした高台から縄文の集落跡を見ると広さに驚きますが、実際はもっともっと住居が建っていたと思うと、縄文人の高度な生活文化が目に浮かぶようです。

 

三内丸山遺跡イベント

 
縄文時代は1万年以上も続いた日本独自の先史文化です。その背景には日本は山や海や平地、川などが多くの生物多様性に富んでいます。恵まれた自然環境のお陰で、富や権力を争う理由がなかったのでしょう。採集・漁労・狩猟により定住した人々の生活と精神文化。そして、自然と共生する知恵や、美的感覚を持つ縄文人は、現代人と 何一つ変わらないように思います。

三内丸山遺跡と精神文化

 

今回で三内丸山遺跡へは5回程訪れただろうか……。約5900~4200年前の長期に渡ってこの村で定住生活し、日本最大級の縄文集落跡がこの青森県に存在することは素晴らしいことです。復元された大型掘立柱建物や竪穴住居、高床建物、縄文の生活が学べる縄文時遊館など、ここは現代から5000年前の時空間が楽しめる唯一のおとぎの国です。
 

大型掘立柱建物

 

 

縄文土器どきツアーが始まりました R5.7.22

昨年に引き続き第2弾!日帰りツアーが始まりました。2021年7月27日に北海道・北東北縄文遺跡群が世界文化遺産に登録された年は、新型コロナウイルスが蔓延し、感染症の影響による行動規制が敷かれている状況でした。本来ならば北海道や北東北に多くの旅行客が訪れ、賑わいを見せていたことと思います。そういう悔しい思いが払拭されたかのように、最近は縄文遺跡に多くの国内外の旅行客が訪れています。今年で2年目を迎えた世界文化遺産「北海道・北東北縄文遺跡群」。遺跡群の17ある構成資産の内、8遺跡が青森県に集中しています。ぜひ県内から世界文化遺産である縄文遺跡を盛り上げ、観光を牽引する起爆剤にしたいものです。今回の日帰りツアーでは、縄文をテーマに3コースを設定しています。Aコースはつがる市の亀ヶ岡遺跡、Bコースは青森市の三内丸山遺跡・小牧野遺跡、Cコースは弘前市の大森勝山遺跡を見学します。また、各コースに観光施設や農園での収穫体験などが盛り込み、ツアーの魅力を最大化しました。地域の魅力を再発見して頂くためにも、多くの方に参加して頂きたいです。

 

縄文ツアー津軽鉄道

 

ツアー初日のコースはAコースで、16人の参加者が津軽鉄道に乗って金木を訪れました。ツアー参加者の他に可愛い園児達も津鉄に乗り、乗車体験を楽しんでいました。あっという間に金木駅に着き、そのあとは太宰治の生家「斜陽館」や、津軽三味線会館で生演奏のライブショーです。津軽三味線は目の不自由な人の、生活の糧として発達したものだそうです。それを知って演奏を聴くと、なぜか哀愁が漂う音色に……。

縄文ツアー斜陽館

 

縄文ツアー三味線会館

 

昼食はかなぎ元気村でボリュームたっぷりの食事をとり、午後は縄文遺跡や資料館がメインとなります。

 

リニューアルオープンした縄文住居展示資料館カルコでは当時の生活を再現したものが見られ、とてもリアル感があります。二階は石器や土器の展示物となっており、訪れる人の目を楽しませてくれます。
 

 

中世と縄文の史跡めぐり

私たちが住んでいる町の歴史を興味深く知ろうと思いませんか。現在過疎と言われている地域が、昔は鎌倉幕府へ影響を及ぼした程の港湾都市であったとしたら、少しは興味を抱いてくれるだろうか。そんな思いで今回「中世と縄文の史跡めぐり」を企画しました。
今からおよそ600年前、五所川原市十三湖一帯は、13世紀から15世紀前半にかけて豪族・安藤氏が支配し、大規模に整備された港湾施設や居城、宗教施設などを伴う大都市として栄えていました。安藤氏は鎌倉幕府執権の北条義時によって蝦夷沙汰代官に任命された在地豪族であり、自ら前九年の役で戦った安倍貞任の末裔を名乗り、室町時代には日之本将軍の称号をあたえられるほどでした。一方、かねてから北朝方についていた南部氏も幕府の威光によって陸奥の国司に任ぜられ、その勢力が増大していました。安藤氏の内乱に乗じて、幕府は南朝方の安藤氏を倒すことによって南朝方全体を徐々に弱体化させようとしていたため、南部氏に命じて、安藤氏を徹底的に討伐しようと大がかりな兵を起こし、これにより安藤氏はこの地を追われ、十三湊は衰退することになります。
今回の中世を巡るツアーでは、安藤氏が庇護したであろう山王坊日吉神社と、市浦民族資料館で当時十三湊を中心に栄えた安藤氏を学ぶというものです。

 

 

午後は、2021年に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北縄文遺跡群」の構成資産の一つ亀ヶ岡遺跡について学びます。遮光器土偶の発見で一躍有名になった亀ヶ岡遺跡。縄文晩期の集落の様子や、土坑や当時の精神文化について現地ガイドさんが懇切丁寧に説明してくれます。また、最後につがる市森田の石神遺跡から出土された板状土偶や円筒土器が展示されている森田歴史民俗資料館で出土品について説明を受けます。ここの館長は自ら土器を制作するなど、とても縄文文化に熱意をもった方です。つがる市で発見されている遺跡から、縄文前期から縄文後期に渡り、縄文集落が形成されていたことがわかっており、長きに渡りこの地に定住し、縄文時代の人々の知恵を伺うことができます。

 

 

 

 

 

 

わくわくツアー「縄文と土器づくり体験」

わくわくツアーもいよいよ大詰めを迎え、残り7回となりました。
今日は若い女性の方々が「縄文と土器作り体験」に参加してくれました。このコースは、亀ヶ岡遺跡や亀ヶ岡考古資料館の他、森田石神遺跡の出土品を展示している森田民族資料館を見学します。そして昼食は津軽金山焼で本格的ピザ窯で焼いたアツアツのピザを食べます。

 

親子で参加したお嬢ちゃんも、何種類かのピザを選んで食べれるので、迷いに迷って
決めたのがチーズとはちみつのハーモニー「ビアンカ・ハニー」。
焼きたてパリパリ感に、ほのかな甘味がとてもマッチし、とても美味しかったそうです。
縄文ツアー土器づくり体験

 

ソフトクリームにコーヒー豆の粉をまぶして食べるのも金山焼の特徴で人参スープもとてもおしゃれです。

 

館内には所狭しと並べられている陶器を眺めているだけで目を楽しませ、さらに大きな登り窯は見る人を驚かせます。観て、食べて、作るの 3拍子揃った日帰り企画「縄文と土器作り体験」の醍醐味です。

 

 

 

土器作り体験をした後で、ツアー参加者の男性に聞いたところ、時代は違えど土器作りをする縄文人へ思いを馳せて作陶して見ましたと言葉が返ってきました。その方は小物入れを作ったそうで、どこか懐かしい 小学生の頃の夏休みの課題をしているようで、とても楽しかったと嬉しそうに話してくれました。

 

さて、津軽金山焼から車で南東(前田野目地区)へ10分程走ると、国史跡に指定されている五所川原須恵器窯跡があります。平安時代中頃9世紀末から10世紀後半にかけて須恵器の一大生産地だったらしく、県内全域や北海道各地、秋田や岩手の北部にまで須恵器が供給されていたようです。10世紀後半を過ぎると生産は徐々に途絶えてしまいますが、貴重な文化遺産として今もその形跡が残っています。その須恵器文化を蘇させた方が津軽金山焼の窯元松宮氏です。
登り窯を自分で作り、須恵器に拘った松宮氏は、まさに中世の焼き物精神を受け継いでいます。このツアーで縄文時代と土器作りの関係性を少しでも理解できれば素晴らしい事です。